日本で働いていた時に税金が高くて少しでも節税しようと、ふるさと納税やセルフメディケーション税制などを活用していた方も多いのではないでしょうか。
実は、タイも日本と同じように税金が高いんです。特に、個人所得税は最高税率35%と高く、大きな負担になります。
そこで本記事では、タイで少しでも節税できるコツをご紹介します。既にタイで働いていて節税方法を知りたい方や、これからタイで現地採用を考えている方は、ぜひ参考にしてください!
タイの税金は高い?知っておくべき節税対策と手続き方法

個人所得税(Personal Income Tax:PIT)とは?
タイでは、一定の収入を得る個人に対して個人所得税(PIT)が課されます。税率は累進課税方式が採用されており、所得が増えるほど税率も高くなります。
個人所得税の対象者
タイの個人所得税は、以下の2つのカテゴリーに分類されます。
種類 | 条件 | 課税対象 |
---|---|---|
タイ居住者(Resident) | 1年間でタイ国内に180日以上滞在 | タイ国内で得た所得と海外で得た所得のうちタイに送金した額 |
非居住者(Non-Resident) | 1年間でタイ国内に180日未満滞在 | タイ国内で得た所得のみ |
個人所得税の税率(累進課税)
タイの個人所得税は以下の累進税率が適用されます。
課税所得額(THB) | 税率 |
---|---|
0 〜 150,000 | 免税 |
150,001 〜 300,000 | 5% |
300,001 〜 500,000 | 10% |
500,001 〜 750,000 | 15% |
750,001 〜 1,000,000 | 20% |
1,000,001 〜 2,000,000 | 25% |
2,000,001 〜 5,000,000 | 30% |
5,000,001以上 | 35% |
控除や免税制度
タイにはさまざまな控除があり、これを活用することで課税所得を減らすことができます。
控除・免税制度 | 控除額 |
---|---|
基礎控除 | – 個人:60,000バーツ – 配偶者:60,000バーツ(課税対象の収入がない場合) |
扶養控除 | 子供1人につき30,000バーツ(最大3人まで) |
社会保険料控除 | 実際に支払った社会保険料の額 |
生命保険料控除 | 最大100,000バーツ |
年金積立(RMF)控除 | 最大500,000バーツ |
住宅ローン利子控除 | 最大100,000バーツ |
寄付控除 | 認定団体への寄付金(最大所得の10%まで) |
所得税の申告と納税期限
- 年間申告期限:毎年3月31日までに前年の所得を申告
- オンライン申告(タイ語のみ)が可能で、支払いも電子決済対応
- 給与所得者は雇用主が毎月源泉徴収して税務署へ納税
- フリーランスや個人事業主は自己申告が必要
タイの節税対策になる保険の特徴

私はタイ国内の日系企業に勤務しており、税金やその他の手続きはすべて会社の会計士に任せています。しかし、給与明細を確認するたびに、「タイの税金は思ったより高い」と感じていました。
そこで、税負担を軽減する方法を模索していたところ、タイの保険に加入することで大きな節税が可能であると知り、実際に活用しています。
私が加入しているのは、タイの保険会社が提供する年金プランです。このプランは、所得税の控除対象となるため、税負担を抑えつつ、将来の資産形成にもつながります。
タイ保険委員会事務局(Office of Insurance Commission:OIC)による監査
タイの保険に加入することに対して、いきなり倒産するリスク等を心配される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、タイには多くの保険会社があり、これらの保険業界は財務省管轄下の「タイ保険委員会事務局(Office of Insurance Commission:OIC)」によって厳格に監督されています。
OICは、各保険会社の財務状況や提供される保険プランの内容を慎重にチェックし、適切に管理しています。そのため、万が一保険会社が経営不振に陥った場合でも、契約者の保険契約はOICによって保護される仕組みとなっています。
加入条件
タイで所得控除の対象となる保険に加入するためには、以下の条件を満たす必要があります。
1. 生命保険の控除条件(控除額最大10万バーツ)
✅ 加入者がタイ国内で所得を得ていること(外国人も対象)
✅ タイ国内の保険会社が提供する生命保険 であること
✅ 契約期間が10年以上 であること
✅ 保険金の受取人が本人または法定相続人 であること
2. 年金保険の控除条件(控除額所得の15%。 最大20万バーツ)
✅ 加入者がタイ国内で所得を得ていること
✅ タイ国内の保険会社が提供する年金保険 であること
✅ 契約期間が10年以上 で、保険料の支払いが55歳以上まで続くこと
✅ 受取開始が55歳以降で、最低10年間の分割受取であること
- 保険料を支払ったことを証明するために、保険会社から発行された証明書(ใบรับรองการชำระเบี้ยประกันภัย) を税務申告時に提出する必要があります。
- 海外の保険会社の保険は控除対象外 となるため、必ずタイ国内の保険会社を利用する必要があります。
- 年金保険の控除はProvident FundやRMFと合わせて最大50万バーツまで という上限があるため、他の投資商品とのバランスを考えることが重要です。
実際の節税額の例:積立型年金保険の概要(所得税率 25%)
例えば、私が加入している積立型年金保険は、25年間の積立期間があり、毎年15万バーツを支払っています。私の所得税率は25%なので、
【150,000 × 25% = 37,500】
毎年37,500バーツの節税が可能になります。
項目 | 内容 |
---|---|
積立期間 | 25年 |
年間積立金額 | 150,000バーツ(※月額 12,500バーツ) |
年間節税可能額 | 37,500バーツ/年(25%の場合) |
総積立金額 | 3,750,000バーツ(150,000 × 25年) |
総節税可能額 | 937,500バーツ/25年間(25%の場合) |
実質負担額 | 2,812,500バーツ |
年金受給額 | 247,307バーツ/年(60〜90歳) |
59歳で解約した場合の解約返戻金 | 4,425,148バーツ(1,612,648バーツのプラス) |
90歳まで年金を受給した場合の総受取額 | 7,666,517バーツ(4,854,017バーツのプラス) |

このように、積立型年金保険を活用することで、将来の資産形成をしながら、所得税の負担を軽減できるメリットがあります。
保険加入方法と毎年の手続きについて


保険加入方法
私は、契約後に日本へ完全帰国した場合でも支払いを継続できることや、各種書類の手続きを日本語で行えることを重視していたため、日本人スタッフが手続きのサポートを対応してくれる代理店「KS LIFE」を利用しています。
この代理店では、自分に合った保険を提案してくれるだけでなく、アフターケアも充実しているため、安心して契約することができます。
「KS LIFE」のサイトから問い合わせをすると、すぐに返信があり、担当者に自身の状況を相談しながら最適な保険を選ぶことができます。
加入方法についても担当者が詳しく案内してくれるため、その指示に従って手続きを進めるだけで簡単です。必要書類に記入すれば、あとは担当者がすべて代行してくれるので、面倒な手続きや難しい作業は一切ありません。
毎年の保険料支払い方法
保険料の支払い期日が近づいてくると、保険会社からいくつかの方法で支払いの案内が届きます。
ちなみに、私が契約した当初、初回の支払いは銀行引き落としのみでしたが、2回目以降はクレジットカードやQRコード決済も利用できるため、便利に継続できます。
1. 郵送で送られてくる場合
申し込み時に記載した住所に、以下のような書類が届きます。これを銀行窓口に持参すれば、支払いが可能です。


2. SMSで案内が届き、QRコードにて支払う場合
申し込み時に記載した電話番号に、以下のメッセージがSMSで届くので、リンクをタップします。


クレジットカードかQRコードを選び、支払いを完了してください。


3. 代理店経由で支払う場合
手続きを一人で行うのが不安な場合は、代理店を通じて支払うことも可能です。代理店に支払い方法を伝え、必要書類を提出すれば、代理店が支払いを代行してくれます。
確定申告後の還付金受け取り方法
保険加入後、毎年1月頃に保険会社から「支払い証明書」が郵送されます。(保険会社によっては、SMSでリンクが送られ、そこからダウンロードできる場合もあります。)
タイの確定申告の期限は3月末までのため、期日までにこの支払い証明書を税務局へ提出する必要があります。会社で確定申告を行っている場合は、証明書が届いたら経理担当者に渡してください。
確定申告が完了したら、あとは還付金を待つだけです。毎年2月下旬から5月にかけて、小切手が同封された以下の書類が届きます。(会計士の確定申告の処理が早ければ、小切手の到着も早くなります。)


届いた小切手、銀行の通帳、念のためパスポートを持参し、普段利用している銀行の窓口へ行きます。書類を提示すれば、すぐに還付金の振り込み手続きをしてもらえます。
まとめ
タイの個人所得税は累進課税方式が適用され、最高税率は35%と高めです。しかし、さまざまな控除を活用することで課税所得を減らし、税負担を軽減することができます。
特に、保険・年金の控除などを活用すれば、大幅な節税が可能です。
タイで働く方や長期滞在を考えている方は、事前に税制を理解し、賢く節税対策を行いましょう。
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