「最近タイの物価が上がってるって聞くけど、実際のところどうなの?」
そんな疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
タイは親日的で、ご飯も美味しく、何より物価が安いことで人気の国。
旅行先としてはもちろん、移住先としても根強い人気があります。
でもここ数年、経済成長やインフレ、観光業の回復などの影響で、物価は確実に上昇中。
「タイ=安い」というイメージが少しずつ変わってきています。
かつては格安で楽しめた屋台ごはんやマッサージ、手頃だったバンコクの家賃も、今では値上がりが目立つようになりました。
特に都市部では生活費の負担を感じる人も増えています。
では、2025年現在のタイの物価は本当に高くなったのか?
そして今も、タイでコスパよく暮らす・旅を楽しむ方法はあるのでしょうか?
この記事では、バンコク在住の筆者が実際の生活費や物価の変化、節約のヒントまで、リアルな情報をお届けします。
タイ旅行を計画中の方、移住を考えている方はぜひ参考にしてみてください!
タイの物価は本当に上がったのか?

「タイは物価が安い」と思っている人は今でも多いのではないでしょうか。
実際、私もタイに来る前は「屋台飯が40バーツ(約160円)で食べられるし、生活費も抑えられて貯金もできる!」と考えていました。
しかし、実際に訪れてみると、そのイメージとは大きく違いました。
特にバンコクでは、高級ブランド店が立ち並び、QRコード決済や銀行アプリが普及するなど、日本以上に便利な場面も多いです。
高層コンドミニアムや高級レストラン、ホテルも増え、エリアやサービスによっては日本以上に物価が高いこともあります。
近年の経済成長や観光業の発展で、タイの物価は確実に上昇しています。
もちろん、ローカルなエリアでは安い食事やサービスも残っていますが、都市部や観光地では「タイだから安い」とは一概に言えません。
タイの物価上昇の背景
- 経済成長と最低賃金の上昇
タイ経済は着実な成長を遂げており、それに伴って最低賃金も年々引き上げられています。
たとえばバンコクでは、現在の最低賃金は1日あたり375バーツ(約1,600円)にまで上昇しました。
これに合わせて、飲食店のメニュー価格や住宅の家賃など、生活コスト全体も上がってきています。
10年前の2015年には最低賃金が日額300バーツだったことを考えると、この10年間で大きな変化があったことがわかります。
- インフレと世界経済の影響
世界的なインフレや円安の影響もあり、日本円で換算するとタイの物価は以前よりも高く感じられます。
特に輸入品や外食の価格が上昇し、「タイは安い」とは言い切れない状況になっています。
- 観光業の回復と価格の高騰
コロナ禍からの回復により観光客が急増し、観光地のホテルやレストランの価格が高騰しています。
特にバンコク、プーケット、サムイ島などの人気エリアでは、宿泊費や飲食費が数年前と比べて大幅に上昇しました。
為替の流れ
下記のグラフは、2020年〜2025年の5年間における日本円(JPY)とタイバーツ(THB)の為替レートの推移を示しています。

直近5年間の為替レート:
- 2021年頃は 1円=約0.29バーツ と比較的高めの水準。
- その後、円安が進み、2022年から急激にレートが下落。
- 2025年には 1円=約0.22バーツ まで円の価値が下がった。
2025年現在、日本人のタイでの最低賃金は約5万バーツとされています。
これを日本円に換算すると、2025年の平均為替レート(1円=約0.2259バーツ)を基に約221,400円となります。
一方、5年前の2021年頃は、平均為替レートが1円=約0.2912バーツでした。
このレートで同じ5万バーツを換算すると約171,700円となり、現在と比べて約49,700円もの差額が生じています。
つまり、為替レートの変動により、同じ額のタイバーツでも日本円に換算した際の価値が大きく変わっており、約5年間で日本円ベースの収入が約3割以上増えた計算になります。
円安のため、タイでの生活費や旅行費用が実質的に高くなっている。
つまり、タイの物価が変わらなくても、日本円ベースで見ると滞在コストが上がっているということです。
この5年間で円の価値はタイバーツに対して約25%下落。
円安の主な理由は日本の低金利政策が続く一方、タイ経済の回復とバーツ需要増加。
旅行者・移住者が感じる変化
実際にタイを訪れた人や移住者は、どのように物価の変化を感じているのでしょうか?
- 「バンコクのレストランは、日本とほとんど変わらない価格になった」
屋台では今でも安く食事ができますが、ショッピングモール内のレストランやおしゃれなカフェでは、日本と同じか、それ以上の価格になることもあります。
たとえば、スターバックスのコーヒー1杯は約120バーツ(約530円)と、日本と大差ありません。 - 「家賃が高騰し、バンコク中心部ではコスパの良い物件が減った」
バンコクの中心部にあるコンドミニアムの家賃は、以前と比べて高騰しており、日本の地方都市と同じくらい、またはそれ以上の価格帯になっています。
家賃補助のない現地採用の日本人にとっては、人気のスクンビット周辺にある築浅のコンドミニアムに住むのが難しいのが現状です。 - 「ローカル市場や交通費はまだ安いが、全体的に上昇傾向」
タクシーや電車の運賃は日本よりもまだ安いものの、値上がりが進んでいます。
今後のタイの物価はどうなる?
現地の状況を見る限り、円安が進み、バーツの価値も上がっています。
タイの物価は今後も上昇を続けると予想されます。
しかし、ローカル市場や屋台を上手に活用すれば、依然として「お得に過ごせる国」であることも事実です。
バンコクでの1ヶ月の生活費

バンコクは、国内でも特に物価が高いエリアの一つです。
特にショッピングモールや観光地では、食事や宿泊費が日本と同等、あるいはそれ以上に感じることも珍しくありません。
タイでの生活費は、ライフスタイルや住むエリアによって大きく変わります。
節約すれば日本よりも安く暮らせますが、都市部や観光地では日本と同じか、それ以上の費用がかかることもあります。
高級レストランや外資系ホテルでは、日本と同等の価格設定が一般的で、場合によっては日本より割高になることもあります。
生活費の主な項目と目安
タイでの生活費を構成する主な項目は以下の通りです。
項目 | 節約型(月)THB | 一般的(月)THB | 贅沢型(月)THB | 節約型(月)日本円換算 | 一般的(月)日本円換算 | 贅沢型(月)日本円換算 |
---|---|---|---|---|---|---|
家賃 | 5,000~10,000 THB | 15,000~25,000 THB | 30,000 THB以上 | 21,950~43,900 円 | 65,850~109,750 円 | 131,700 円以上 |
食費・日用品 | 4,000~6,000 THB | 7,000~15,000 THB | 20,000 THB以上 | 17,560~26,340 円 | 30,730~65,850 円 | 87,800 円以上 |
交通費・ガソリン代 | 1,000~3,000 THB | 3,000~6,000 THB | 10,000 THB以上 | 4,390~13,170 円 | 13,170~26,340 円 | 43,900 円以上 |
光熱費・通信費 | 1,500~3,000 THB | 3,000~5,000 THB | 5,000 THB以上 | 6,585~13,170 円 | 13,170~21,950 円 | 21,950 円以上 |
娯楽・交際費 | 3,000~7,000 THB | 10,000~20,000 THB | 30,000 THB以上 | 13,170~30,730 円 | 43,900~87,800 円 | 131,700 円以上 |
合計 | 14,500~29,000 THB | 38,000~71,000 THB | 95,000 THB以上 | 63,655~127,310 円 | 166,810~311,140 円 | 417,050 円以上 |
生活費の内訳(詳細)
① 住居費:家賃の相場
バンコク都心(スクンビットエリア)
住居タイプ | バーツ(THB) | 日本円換算(JPY) |
---|---|---|
高級コンドミニアム(2ベット) | 40,000~80,000バーツ | 約176,000~352,000円 |
中級コンドミニアム(1ベッド) | 15,000~30,000バーツ | 約66,000~132,000円 |
格安アパート(スタジオタイプ) | 5,000~10,000バーツ | 約22,000~44,000円 |
② 食費:外食 vs 自炊
タイでは外食文化が深く根付いており、ローカルな食堂や屋台を活用すれば、食費をかなり抑えることができます。
たとえば、朝・昼・晩すべてを屋台料理で済ませれば、1日あたり約100THB、1ヶ月でもおよそ3,000THB(約13,000円)ほどで生活することも可能です。
ただし、日本食レストランやショッピングモール内のレストランを利用する機会が増えると、その分コストは一気に跳ね上がります。
特にバンコクでは中〜高価格帯の外食が多いため、頻繁に外食をしていると、予算オーバーになりやすい点には注意が必要です。
項目 | タイバーツ(THB) | 日本円換算(JPY) |
---|---|---|
ローカル屋台の食事 | 60~80バーツ | 約264~351円 |
フードコートの食事 | 70~150バーツ | 約307~659円 |
レストラン(中級クラス) | 350~500バーツ | 約1,537~2,195円 |
カフェのコーヒー | 100~250バーツ | 約439~1,098円 |
日本の居酒屋 | 1,000バーツ~ | 約4,390円~ |
③ 交通費:タクシーは安いが…
タイはガソリン価格が比較的高めです。駐在員の場合、会社が運転手付きの社用車を手配してくれることもありますが、現地採用のスタッフの場合は交通費を自己負担することも。。。
職場が自宅から遠い場合、通勤にかかるガソリン代や車の維持費が大きな負担になることもあります。
交通手段 | タイバーツ(THB) | 日本円換算(JPY) |
---|---|---|
BTS(スカイトレイン) | 16~62バーツ | 約70~272円 |
MRT(地下鉄) | 17~43バーツ | 約75~189円 |
バス | 8~25バーツ | 約35~110円 |
タクシー(初乗り) | 35バーツ | 約154円 |
ガソリン代(1リットル) | 約35~40バーツ | 約154~176円 |
④ 光熱費・通信費
項目 | タイバーツ(THB) | 日本円換算(JPY) |
---|---|---|
電気代(エアコン使用) | 1,500~5,000バーツ | 約6,585~21,950円 |
水道代 | 100~300バーツ | 約439~1,317円 |
インターネット(光回線) | 500~1,500バーツ | 約2,195~6,585円 |
スマホ通信費 | 300~1,000バーツ | 約1,317~4,390円 |
日本のテレビ回線(月額) | 約1,500バーツ | 約6,585円 |
⑤ 娯楽・交際費
項目 | タイバーツ(THB) | 日本円換算(JPY) |
---|---|---|
マッサージ | 300~1,500バーツ | 約1,317~6,585円 |
映画館 | 250~300バーツ | 約1,098~1,317円 |
バー・クラブ | 2,000~3,000バーツ/回 | 約8,780~13,170円 |
ジム・フィットネス | 500~1,500バーツ | 約2,195~6,585円 |
ゴルフ(1回) | 約2,000~5,000バーツ | 約8,780~21,950円 |
釣り(1回) | 約1,000~3,000バーツ | 約4,390~13,170円 |
実際の生活費公開
スクンビット在住、30代女性、現地採用の1ヶ月のリアルな生活費はこちらです。
項目 | 金額(THB) | 日本円換算(円) |
---|---|---|
家賃 | 14,000バーツ | 約61,460円 |
食費・日用品 | 10,000バーツ | 約43,900円 |
交通費(ガソリン代込み) | 5,000バーツ | 約21,950円 |
光熱費・通信費 | 1,000バーツ | 約4,390円 |
娯楽費 | 5,000バーツ | 約21,950円 |
美容(ネイル等) | 2,500バーツ | 約10,975円 |
合計 | 37,500バーツ | 約164,625円 |
私の場合、通勤は社用車を自分で運転しており、ガソリン代は実費負担のため、多少の交通費がかかります。
一方で、光熱費と自宅のWi-Fiは日本に比べてかなり安く、毎月1,000バーツ以内に収まっています。携帯代は会社負担のため、個人的な支出はありません。
洋服は日本に一時帰国した際に購入するため、タイで買うことはなく、この分の支出もほぼゼロです。
娯楽としては、ゴルフや釣りを楽しんだり、飲み会に参加したりすることもありますが、それでも全体の支出は1万バーツ程度に収まっています。
食費については、屋台飯をほとんど利用せず、主に日系スーパーで食材を購入しているため、やや高めになりがちです。それでも、適度な外食や娯楽費を含めても、全体としては無理のない範囲で収まっています。

会社から家賃補助や運転手付きの社用車が支給される場合、生活コストを大幅に抑えることができます。
しかし、現地採用の場合はこうした手当がつかないことが多く、駐在員と比べて自己負担が増える傾向にあります。
さらに、日本での保険料などの支払いは別途発生するため、日本側でも一定のコストがかかっているのが実情です。
そのため、限られた予算内でやりくりする工夫や、コスト意識を持った生活スタイルがより一層求められます。
物価上昇が続くタイ、今後の見通しは?


経済成長と所得の向上
タイは東南アジアの中でも経済成長が著しい国の一つです。
特にバンコクでは外資系企業の進出が進み、現地の給与水準も上がっています。
- 2023年のタイのGDP成長率:2.6%
所得の上昇により、地元の消費力が高まり、結果的に物価の上昇につながっています。
インフレの影響
世界的なインフレの影響を受け、タイでも食品や生活必需品の価格が上昇しています。
- 2024年のインフレ率:推定2.0~3.0%
- 食品・飲料価格の上昇:市場やスーパーでも価格が年々上がっている
観光業の回復と外国人需要
パンデミック後、タイの観光業は急速に回復しており、外国人観光客の増加が物価を押し上げる一因となっています。
- 2024年の観光客数:タイ観光・スポーツ省の発表によると、2024年のタイへの外国人観光客数は前年比26.3%増の3,554万5,714人。
特に観光地では、外国人向けの価格設定がされることが多く、ローカル価格と大きな差が出ることもあります。
今後の物価の見通し
タイの物価は今後も上昇を続けると予想されますが、そのペースや影響範囲にはいくつかの要因が関係してきます。
① 物価上昇は続く
現在の傾向を見ると、今後も物価は徐々に上がると考えられます。
ただし、タイ全体が日本並みの物価になるわけではなく、ローカル向けの生活をすれば比較的安く暮らすことは可能です。
- 高騰が予想されるもの:不動産、輸入食品、観光地のサービス
- 比較的安く抑えられるもの:屋台飯、ローカル市場、公共交通
② タイ政府の経済政策の影響
タイ政府は物価上昇を抑えるためにさまざまな施策を行っています。
- 最低賃金のさらなる引き上げ
- 公共交通の運賃補助(BTS、MRTなど)
- 特定商品の価格統制(例:ガソリン補助)
③ ASEAN地域との競争と影響
タイは東南アジアの中心的な国ですが、最近ではベトナムやインドネシアの経済成長が著しく、ASEAN諸国間の競争が激しくなっています。
- 他国との物価比較
- ベトナム:まだ物価は安いが急成長中
- マレーシア:タイと同程度の物価
- シンガポール:圧倒的に高い
今後、企業がより低コストな国へ移転する可能性があり、それによってタイ経済にも影響が出るかもしれません。
まとめ
今後タイはどうなるのか!?
✅ 物価上昇は続く
✅ 観光業の回復で特定のエリアは高騰
✅ ローカルの生活スタイルを取り入れれば節約可能
✅ 政府の政策やASEANの影響で変動の可能性あり
物価が上がっても、工夫次第でコストを抑えながら暮らすことは可能です。
節約ポイント | 詳細説明 |
---|---|
ローカル市場や格安スーパーを活用 | 輸入品の多いデパートや日系スーパーよりも、Big CやTesco Lotus、ローカル市場で買い物をすると安く済む。 |
交通費を抑える | BTSやMRTの定期券を活用し、タクシーやバイタクの利用を減らすことでコスト削減。 |
日本食を控えめにする | 日本食は高額になりがちなので、ローカル食堂やタイ料理をメインにするのがベスト。 |
為替レートをチェックして両替 | 為替レートの良いタイミングでまとめて両替すると、お得に現金を確保できる。 |
地方都市や郊外での生活 | 地方や郊外では、バンコクよりも食費や住居費が安く、節約しやすい環境。 |
今後もタイの物価は上昇していくことが予想されますが、工夫次第でコストを抑えて暮らすことは十分に可能です。
特に日本円の為替レートが不利な現在、タイバーツの価値が高く感じられるため、初めてタイを訪れる方は物価の高さに驚くかもしれません。
長期滞在を考えている方は、最新の物価情報をこまめにチェックしながら、節約ポイントを押さえて快適な暮らしを目指しましょう。
また、旅行者も少し工夫すれば、まだまだタイをお得に楽しむことが可能です。
観光地ではチケット代などが外国人向けに割高に設定されていることもありますが、情報を上手に活用すればコストを抑えつつ満喫できます。
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